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ダークソウル考察 すごいぞカリム(おまけ) 奇手の指輪編

今まで堅苦しく書いてきましたが面倒なのでですます口調でいこうとおもいます。ラフに行こうラフに。 ロンドールがカリムの影響を色濃く受けているというのが自説なのですが、それを踏まえた上で奇手の指輪のテキストを読むと興味深いので紹介します。初出は2なのでまずはこちらのテキストから。 2  〇〇の奇手の指輪 石を掴む奇手の指輪 〇〇攻撃力を高める効果があるが 代わりに物理防御力が下がる 指輪の由来は知られていないが その形象は悪神の類だろう うまく利用できるかは利用者の力量による 2のテキストでは由来はわからないがこの指輪の竜のような鳥の足のようなものに石が掴まれた形を「悪神」の形象だと述べられています。これまでの記事に何度も書いてますが、ダークソウル内で悪神とされている記述があるのは女神クァトです。また邪教とされているのは罪の女神ベルカへの信仰でした。そしてすごいぞカリム③で述べましたが、人を破滅の運命へと導くファム・ファタル的存在であるフィナもまた悪神としてとらえられるのではないでしょうか。 続いて3での奇手の指輪のテキストを見ましょう。 3  〇〇の奇手の指輪 〇〇石を掴む奇手の指輪 〇〇攻撃力を高めるがカット率が下がってしまう。 ロンドールの古い言い伝えによれば 絶望に心折れようとする者の前にこそ 奇手の誘いが現れるのだという。 3では奇手の指輪はロンドール由来で「古い言い伝え」があるという…絶望に心折れようとする、意識のない亡者になる一歩手前の者の前にこそ現れる「奇手の誘い」…。ロンドールがカリムを礎の1つとするならば、この言い伝えによく似た境遇の人がいるんです。そう、みんなだいすき女神の騎士ロートレクです。 無印 寵愛装備テキスト抜粋 彼は孤独の果てに女神の寵愛を信じ、そのために全てを捨てた 彼の場合手どころか、腕で抱きしめられる意匠の鎧を装備しているあたり、相当にこの「救いの手」に傾倒したことがわかります。そして実際、目的のためには他人をかえりみません。救いの手の主である女神フィナの寵愛を信じ、そのために全てを捨てているのですから…。逆を言えばこの救いの手を見出さなければとうに亡者になっていたのでしょう。狂信こそが彼を生かしていたのでしょう。 カリムには無印の赤...

ダークソウル解説 すごいぞカリム③女神フィナ編

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過去の記事でロートレクのフィナへの信仰心について熱い思いをブチ撒けたが、今回は冷静に女神フィナと、そして彼抜きでは語れないのでロートレクについても書いていきたい。国としてのカリムもすごいがフィナの美しさも半端ないぞ!ということを語りたい。まずは無印で登場した寵愛と加護の指輪のテキストをご覧いただきたい。 無印  寵愛と加護の指輪 「運命的な美しさ」を謡われる 女神フィナの寵愛と加護の指輪 装備者のHP、スタミナ、装備重量 すべてを増やす効果があるが 一度つけると外すことができず 無理に外すと壊れてしまう HP、スタミナ、装備重量がすべて20%上がるという非常に強力な効果を持つ指輪で、どの時点でもロートレクを倒すことで入手可能。但し1周につき入手できるのは1つであり、外せば壊れてしまい修復も不可能で「エンゲージリング」とも言えるべき品である。 筆者が気になるのは彼女の美がわざわざ鍵括弧で「運命的な」と現されている部分である。これが「絶世の美」なら女神フィナは類稀な美女であったと単純に納得するのだが、人の美しさを褒める時に運命的ですねと言うことは滅多にないと思われる。 この運命という言葉から連想できるのがファム・ファタル(仏:femme fatale 運命の女)という概念である。運命の赤い糸で結ばれた恋愛の相手という意味もあるがそれよりは、ここではその美しさを以って男を破滅の運命に導く魔性の女の意味がふさわしい。 ファム・ファタルについて具体的な例を2つ。 19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパ流行った芸術の題材。一例としてオスカー・ワイルドの戯曲「 サロメ 」では主人公サロメが預言者ヨハネに一目惚れし、その愛が手に入らないとわかると義理の娘である自分に魅せられている義父のヘロデ王に踊りの褒美としてヨハネの首を所望する。 クリムトの描いた「 ユディト 」はユダヤの町に暮らす美しい寡婦ユディトが町を襲った敵将ホロフェルネスの元へ着飾って赴き、酒宴ののちに彼が泥酔し二人きりとなったところで寝首を掻いて町の危機を救う旧約聖書外典の話である。※ このようにファム・ファタルに関われば男にとってろくでもない結果になるのである。芸術の題材として愛されるのはその危うさこそが人々を惹きつけてやまないのだろう。 女神の騎士を...

ダークソウル考察 すごいぞカリム②アイテム編

カリムで作られたアイテムは独特で貴重なものが多く、そしてその種類も豊富である。そしてとくに指輪が多彩であり、また他国よりも相当な技術力があったといえる。アイテムの製作に無印ではカリム伯アルスターなる人物が関わっているようである。例えば3で「哀れな抱かれ騎士の名で知られる」とされるショーテルもその一つである。 無印  ショーテル 大きく湾曲した刃を持つ曲剣 カリム伯アルスターの作の1つであり 使用には高い技量が必要となるが 盾の防御を掻い潜ってダメージを与えられる ちなみに現実でのショーテルはエチオピアの伝統的な両刃の刀剣で、盾を掻い潜るのは勿論、手首を返さずに斬ることが可能で、引っ掛けたり薙ぎ払えたりでき、熟達の者が使えば騎兵相手にも効果的だったという。 他に無印でカリム伯アルスターの名がテキストにあるアイテムは前の記事で触れた解呪石、そして血咬み、毒咬み、呪い咬みの「咬み指輪」シリーズである。だいたい同じなのでここでは病み村で重宝した毒咬みの指輪のテキストを。 無印  毒咬みの指輪 カリム公アルスターが作らせたと言われる 独特の「咬み指輪」の1つ その製法にはよからぬ噂もつきまとうが 確かな効果があり 毒咬みの指輪は、装備者の毒耐性を高める (注:公と伯について。考察好きな皆はすでにお気づきかと思いますが、アルスターは伯だったり公だったり、爵位が変わっています。3では武器に「アルスターの槍」が登場するのですがこのテキストでは「カリム公アルスター」となっています。どっちなんだ!統一してくれ!というのが本音です。しかし欧州では領地によって複数の爵位を持つ場合があったり、最も重要な爵位以外を嫡男以外に分与する場合もあったそうです。ダークソウル世界では(名前)of(国名)と名乗るのでファミリーネームが無く何とも判断がつきませんが、公と伯に分かれているアルスターは本人またはその血族ということで解釈しようと思います) 脱線を元にもどします。ここで大事なのは咬み指輪の製法である。よからぬ噂というのは何なのか。ほかのアイテムのテキ...

ダークソウル考察 すごいぞカリム①信仰編

ダークソウルには数多の国が登場するが、筆者がとくに注目したいのがカリムである。長い時を経て多くの国は没落したりその名が失われたり正しく伝わっていなかったりする。例えばシリーズの代名詞上級騎士の装備で知られるアストラは3の時点では亡国とされ没落してしまっていることがテキストからわかる。 3  アストラの直剣 亡国の名で呼ばれる上質の剣。 没落したアストラは、かつて貴族の国であった この武器はその名残、遺産であるのだろう 「貴族の国」というのは無印のキャラメイク時のテンプレートの一つに「アストラの貴種顔」というものがある。整った顔の金髪のキャラクターとなっている。 一方カリムはいまだ健在のようで、宗教論争を起こしていたり火防女になる使命を与え聖女イリーナとその騎士イーゴンをロスリックに送り出している。 3  ロイドの盾の指輪 白教に仕える騎士に与えられる指輪 主神ロイドの階級の盾を象っている HPが最大のとき、カット率を一時的に高める だが白教のロイド信仰は、今や廃れて久しい カリムの司祭たちは声高に主張する ロイドは傍系にすぎず、主神を僭称したのだと ちなみに無印ではキャラメイク時に「カリムの陰気顔」、3では「カリムの坊主顔」のテンプレートがあり、信仰に篤いが暗さを感じさせる雰囲気がある。カリム人は「クックック…」と独特の笑い方をする。女性のイリーナも例外ではなくイベントの進行によっては彼女のカリム笑いを聞くことができる。ただ、無印の教戒師オズワルドだけは特別すぎる。「ヒャーッハッハ!」の絶叫に皆一度は驚いたことだろう。 聖女レア一行に「注ぎ火」を探す使命を与えたソルロンドは3では名前すら登場しない。最初の火の衰えとともに白教信仰が盛んだった国が衰退したように思われる。カリムもまた白教を信仰する国であるが、同時に女神信仰も行われている。無印でロートレクが女神フィナを、オズワルドが女神ベルカを信仰し、そして3ではイーゴンが女神クァトの使徒モーンを象った鎧を纏った。 フィナは定かではないが、ベルカが非常にすぐれた魔術師だったことや( 過去記事参照 )クァトの伝承から、彼女らは神族以外の実在した人物なのだろう。女神信仰、これがカリムが健在である重要な要素の1つと考えられる。 罪の女神ベルカへの信仰はベ...

隻狼考察③葦名一心と弦一郎

弦一郎の出自には謎が多い。一国の主である一心の孫にしては冷遇されている印象が強い。一心の孫であるのに異端であるとされ、市井の生まれであり、母親の死後にようやく城へ引き取られている。剣術も葦名流という立派な流派があるにも関わらず、師はかつての竜胤の御子の従者である巴で、一心のように他の流派を取り入れることもしていない。 葦名流道場にはかつて葦名に来た「あやかし」の雷に対抗するための雷返しの掛け軸が掛けられており、これが弦一郎撃破の大きなヒントとなっている。弦一郎の巴流は葦名衆からすればかつて戦った敵の異端の技なのである。 弦一郎の出自の謎は一旦置くとしと、北欧神話の主神オーディンが一心と共通点が多いことを紹介したい。 ・両者とも隻眼 ・オーディンの槍グングニルと、ルートにもよるが剣聖である葦名一心が取り出す大槍 ・オーディンは知識に貪欲であり、一心も様々な剣術を求めて各地を遍歴 ・各地を放浪したことからオーディンは嵐の神とも。一心も槍持ち時に天候が雷雨となる。 ・オーディンは時々姿を変えたり変装する。一心も「葦名の天狗」に変装している ・オーディンの戦時の姿は金の兜に青のマント、一心は金の兜飾りに青の着物 ・オーディンはラグナロク(最終戦争)の際にフェンリルという狼に殺される。一心と対峙することになる主人公の名は狼 ・オーディンは軍神であり戦場にヴァルキリーを遣わせ勝利すべきとした側に助力する。一心が竜胤の力を手にしようとする弦一郎を止めるべく狼にエマを遣わせた(花菖蒲の文を投げ入れその後援助する)ことに通じる ざっと共通点を挙げるだけでもこれだけある。完全に同一ではないが、オーディンが一心のモデルの一部であるのは十分に考えられる。ならばオーディンの家系に弦一郎に似た神はいないかと調べたところ、興味深い神が見つかった。雷神トールの義理の子供ウルである。 オーディンの子の1人雷神トールの妻の1人シヴ(美しい金髪を持つとされる豊穣の女神らしい)には連れ子ウルがいた。つまりオーディンの血は直接引いていないと考えられる。 ウルは光輝く、栄光などの意で、弓、決闘、狩猟、そしてスキーの神(さすが雪深き北欧)。古くはより地位の高い天空神であったともされる。 もしもこのウルという神が弦一郎のモデルであれば、彼が市井の生まれ(主神の血を引いてい...

隻狼考察②仙峰寺と鐘鬼について

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「能ゲーム、能ライフ」、第2回は仙峰寺について。今回は能の話あり。 仙峰寺は京都に実在する清水寺と酷似している。有名な清水の舞台は勿論、場所は違えど対応する建物が多くある。本堂周辺の図を作成したのでご覧いただきたい。 図に加えて解説。 ・清水寺、仙峰寺共に本堂の本尊は千手観世音菩薩。 ・随求堂での胎内巡りは隻狼作中の洞窟。変若の御子も仙峰上人がそこで胎内巡りをしたっきり出てこないことを教えてくれる(筆者も昔胎内巡りを体験した)。 ・変若の御子の居場所である奥の院は清水寺では別の場所、音羽の滝の真上にある。清水寺の名の由来ともなる清らかな水が流れる小さな滝。奥の院は清水寺を創建した行叡居士らが修行した場所で寺内で最も古い歴史を持つと言える。また、奥の院の本尊も千手観世音菩薩である。 この他にもまだ共通する建造物や場所がある。 ・仁王門(阿形と吽形の金剛力士像がある門)。作中では捨て牢経由で到着後左奥に坂を登って行った辺りにあり、僧がたくさんいる場所。 ・小太郎が欲しがっている赤と白の風車のある地蔵群は清水寺の千体石仏群に相当する。日本で地蔵は子を守る存在として崇められる。地蔵菩薩はサンスクリット語でクシティ(大地)ガルバ(子宮)といい、大地のような広い心で抱く仏。地母神のような存在か。 ・清水寺では鐘楼は仁王門から少し離れた場所にある。作中では厄憑の鐘として地蔵群と甲冑武者のいる廊下の奥の崖にある。 鐘について補足を。 厄憑の鐘を突くと鐘鬼が憑き、敵が強化される代わりにドロップアイテムが増える効果を得られる。ダークソウルシリーズでは蛇は竜のなりそこないであり、大きな口で自分以上のものを飲み込むことから貪欲な存在とされていた。モデルかどうかははっきりとしないが、近い話として能の演目「道成寺」にもなった「安珍・清姫伝説」というものがある。 あらすじ。修行僧の安珍は和歌山の熊野詣の途中に真砂庄司というものに一晩泊めてくれと頼む。その家の娘、清姫は安珍があまりにも美青年であったため一目惚れし、熱烈に(夜這いするほど)恋い慕う。修行僧である安珍はこれを拒み、熊野詣の帰りに寄ると約束する。 しかし約束の日になっても安珍は来ない。怒った清姫は安珍を追いかけ、ついに追いつくが人違いだと嘘を吐かれる。逆上する清姫。彼女から逃げたい一心で...

隻狼考察 ①長手の百足・仙雲とジラフ

入院していたため発売から1ヶ月以上経ってようやくプレイ開始、そして1周目をクリア。もう当分、お年寄りと戦うのは勘弁したい。『隻狼』は生死と親子関係、随所に能の幽玄、神道、仏教文化がちりばめられ、そしてダークソウルやブラッドボーンとの繋がりを薄っすら(一部では強烈に)感じさせられる作品だった。 いまその繋がりを書くには自分にとって早急すぎるのでプレイ中に気づきあるいは調べた人物やオブジェクトの比較的簡単な解説をしていきたい。 このシリーズを「能ゲーム、能ライフ」と銘打っていく(どこかで聞いたことがあるって?ライトノベルで有名だが元を辿ればタワーレコードのキャッチコピー「No music,No life」が先である。本歌取りは続くのだ)。 本題へ。仙峰寺の五重塔で何やら呟きながらひたすら火に向かって祈っている長手の百足・仙雲。彼は一体何をしているのか。アイテム「六の念珠」に彼ら百足衆の記述がある。 六の念珠(抜粋) 百足衆は、己の「星」を探す者たちだ 星を見出せば、それに仕え、時に名すら変える 百足衆の長は「長手」と呼ばれ、鉤爪を持つ 百足衆は星を探しているのだと。密教の占星法は九曜(9個あると信じられた惑星)と北斗七星のうちの1つをその者の生まれ星とし、それらと1年ごとに巡ってくる星が運命を左右すると信じられた。要するに西洋の星座占いのようなものである。 それらの星に願い事をし災いを退けるようとする行いが、あの火に祈る護摩供養である。本来は立春、冬至、旧暦の元旦に行う行事だそうだが、見たところ仙雲たちはずっとやっているようである。一所懸命。星に願いを。百足衆は意外にもロマンチストである。 ではもう1人の百足衆の長、長手の百足・ジラフは落ち谷方面で何をしていたのか。 1つ考えられるのは鉱物採集の役目。坑道がムカデに似る、土を掘り進むことがムカデのようであることから鉱物掘りをする者らがムカデと関連づけられることがあったという。 ウィキペディアのムカデのページ、モチーフ象徴 の部分を参照していただきたい。刀、鉄砲、鎧など鉱物はとにかく重要な素材であり、貴重な財源であったはずである。 もう1つ考えられるのは伝令の役目があったのかもしれない。いままでのリンク先でも見かけられたが こちら のブログにて武田氏が伝令を百足衆と呼ん...