ブラッドボーン解説 その1 ビルゲンワース

2018年5月のプレイステーションプラスで本編フリープレイとなったフロムソフトウェアの名作クトゥルフアクションRPGブラッドボーン。「青ざめた血を求めよ」という自筆の走り書きだけを頼りに古都ヤーナムに蔓延る獣と怪異を狩るのがあらましです。
わたしは1年前の2017年にハマってしまったのでこの新規プレイヤーが溢れかえるお祭り騒ぎに乗りそびれた感がありました。少しだけ新米狩人より先輩でしたので、一度プレイしただけでは理解しきれないブラボ世界の考察をしておりました。作中に登場する派閥ごとに解説したテキストが思いのほかバズったので、もう少しだけ丁寧にやろうと思います。



ブラッドボーンはクトゥルフ神話が話のモチーフになっており、個々のテキストも非常に独特な言い回しが続きます。しかしそのテキストを丁寧に読み解けば世界の全容とは行かなくとも、事のあらすじと翻弄される人々のすがたが浮かび上がってきます。わたしはクトゥルフへの造詣が浅いので元ネタには弱いです。したがって作中テキストからわかることだけを解説します。

準備中の新タイトル「隻狼」のインタビューで文章のクセをご自身で認める宮崎氏。その劇がかった独特の言い回しはブラッドボーン、ソウルシリーズでプレイヤーの世界観構築に関与する重大な要素である。



ビルゲンワース

各派閥の元となった、ウィレーム学長が首魁の学問研究機関。「脳に瞳※を得る」ことで上位者と同じ思考の次元に至ろうと試みた。地下遺跡より古代人の死体を持ち帰り、彼らが得ていた神秘の力とそれを与えた上位者の研究をしていた。袂をわかつこととなるローレンスたちのように血そのものを使用して上位者になるのではなく、あくまで学問の立場をとって上位者の力を得ようとした。カレル文字はその代表である。
実際にプレイしてストーリーを進めれば、また作中のテーブルに置かれたメモからもわかることであるが、血そのものの力の利用(血を体内に入れる、輸血すること)は獣然り、眷属然り、やがて人間を別の生き物にしてしまうのである。
ウィレーム学長の方法は人間として、人間の姿を保ったままで上位者を目指す方法として、正しかったのだろう。しかしそれでは人間を超えたものである「上位者」にはなれないのである。あるものたちは上位者になりたい、人間の力を超えたいと願った。しかしウィレーム学長の下ではそれは叶わないと悟り離反していくのであった…。

アイテム鎮静剤のテキストからは神秘を研究する者は皆簡単に狂ってしまうことがわかる。発狂を鎮めるために濃い血液を使い(飲んだのか打ったのか具体的には不明)、それがやがて「血の医療」に繋がったとある。発狂をやすやすと収めてしまうほどの薬。その薬には、その元となる血には、一体何が入っているのか。そんなとんでもないシロモノを使って大丈夫なのか…。もちろん大丈夫ではなかったのはプレイヤーの皆さんご存知の通りである。次回、医療教会につづく。

※ここで言われる「瞳」というものは単純に目玉を指すものではなく、上位者の謎に迫る重要なものの比喩である。重要なので後に詳しく解説する。


余談

ビルゲンワースの白痴のロマがいる湖の手前、安楽椅子に座っているヒダの多い服と豪華な目隠し帽を被った老人がウィレーム学長。聖堂街で会えるアルフレートの話ではビルゲンワースが放擲されてからかなり年月が経っているようであるがこの老人は生きているのである。そして攻撃すると赤い血ではなく眷属が流すような白い液体を流す。そして死ぬとカレル文字の「瞳」をドロップする。作中ではこれ以上の情報がないのではっきりとはわからないが、彼は学問を極め眷属へとなったのだろうか…?

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