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ダークソウル解説 すごいぞカリム③女神フィナ編

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過去の記事でロートレクのフィナへの信仰心について熱い思いをブチ撒けたが、今回は冷静に女神フィナと、そして彼抜きでは語れないのでロートレクについても書いていきたい。国としてのカリムもすごいがフィナの美しさも半端ないぞ!ということを語りたい。まずは無印で登場した寵愛と加護の指輪のテキストをご覧いただきたい。 無印  寵愛と加護の指輪 「運命的な美しさ」を謡われる 女神フィナの寵愛と加護の指輪 装備者のHP、スタミナ、装備重量 すべてを増やす効果があるが 一度つけると外すことができず 無理に外すと壊れてしまう HP、スタミナ、装備重量がすべて20%上がるという非常に強力な効果を持つ指輪で、どの時点でもロートレクを倒すことで入手可能。但し1周につき入手できるのは1つであり、外せば壊れてしまい修復も不可能で「エンゲージリング」とも言えるべき品である。 筆者が気になるのは彼女の美がわざわざ鍵括弧で「運命的な」と現されている部分である。これが「絶世の美」なら女神フィナは類稀な美女であったと単純に納得するのだが、人の美しさを褒める時に運命的ですねと言うことは滅多にないと思われる。 この運命という言葉から連想できるのがファム・ファタル(仏:femme fatale 運命の女)という概念である。運命の赤い糸で結ばれた恋愛の相手という意味もあるがそれよりは、ここではその美しさを以って男を破滅の運命に導く魔性の女の意味がふさわしい。 ファム・ファタルについて具体的な例を2つ。 19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパ流行った芸術の題材。一例としてオスカー・ワイルドの戯曲「 サロメ 」では主人公サロメが預言者ヨハネに一目惚れし、その愛が手に入らないとわかると義理の娘である自分に魅せられている義父のヘロデ王に踊りの褒美としてヨハネの首を所望する。 クリムトの描いた「 ユディト 」はユダヤの町に暮らす美しい寡婦ユディトが町を襲った敵将ホロフェルネスの元へ着飾って赴き、酒宴ののちに彼が泥酔し二人きりとなったところで寝首を掻いて町の危機を救う旧約聖書外典の話である。※ このようにファム・ファタルに関われば男にとってろくでもない結果になるのである。芸術の題材として愛されるのはその危うさこそが人々を惹きつけてやまないのだろう。 女神の騎士を

ダークソウル考察 すごいぞカリム②アイテム編

カリムで作られたアイテムは独特で貴重なものが多く、そしてその種類も豊富である。そしてとくに指輪が多彩であり、また他国よりも相当な技術力があったといえる。アイテムの製作に無印ではカリム伯アルスターなる人物が関わっているようである。例えば3で「哀れな抱かれ騎士の名で知られる」とされるショーテルもその一つである。 無印  ショーテル 大きく湾曲した刃を持つ曲剣 カリム伯アルスターの作の1つであり 使用には高い技量が必要となるが 盾の防御を掻い潜ってダメージを与えられる ちなみに現実でのショーテルはエチオピアの伝統的な両刃の刀剣で、盾を掻い潜るのは勿論、手首を返さずに斬ることが可能で、引っ掛けたり薙ぎ払えたりでき、熟達の者が使えば騎兵相手にも効果的だったという。 他に無印でカリム伯アルスターの名がテキストにあるアイテムは前の記事で触れた解呪石、そして血咬み、毒咬み、呪い咬みの「咬み指輪」シリーズである。だいたい同じなのでここでは病み村で重宝した毒咬みの指輪のテキストを。 無印  毒咬みの指輪 カリム公アルスターが作らせたと言われる 独特の「咬み指輪」の1つ その製法にはよからぬ噂もつきまとうが 確かな効果があり 毒咬みの指輪は、装備者の毒耐性を高める (注:公と伯について。考察好きな皆はすでにお気づきかと思いますが、アルスターは伯だったり公だったり、爵位が変わっています。3では武器に「アルスターの槍」が登場するのですがこのテキストでは「カリム公アルスター」となっています。どっちなんだ!統一してくれ!というのが本音です。しかし欧州では領地によって複数の爵位を持つ場合があったり、最も重要な爵位以外を嫡男以外に分与する場合もあったそうです。ダークソウル世界では(名前)of(国名)と名乗るのでファミリーネームが無く何とも判断がつきませんが、公と伯に分かれているアルスターは本人またはその血族ということで解釈しようと思います) 脱線を元にもどします。ここで大事なのは咬み指輪の製法である。よからぬ噂というのは何なのか。ほかのアイテムのテキ

ダークソウル考察 すごいぞカリム①信仰編

ダークソウルには数多の国が登場するが、筆者がとくに注目したいのがカリムである。長い時を経て多くの国は没落したりその名が失われたり正しく伝わっていなかったりする。例えばシリーズの代名詞上級騎士の装備で知られるアストラは3の時点では亡国とされ没落してしまっていることがテキストからわかる。 3  アストラの直剣 亡国の名で呼ばれる上質の剣。 没落したアストラは、かつて貴族の国であった この武器はその名残、遺産であるのだろう 「貴族の国」というのは無印のキャラメイク時のテンプレートの一つに「アストラの貴種顔」というものがある。整った顔の金髪のキャラクターとなっている。 一方カリムはいまだ健在のようで、宗教論争を起こしていたり火防女になる使命を与え聖女イリーナとその騎士イーゴンをロスリックに送り出している。 3  ロイドの盾の指輪 白教に仕える騎士に与えられる指輪 主神ロイドの階級の盾を象っている HPが最大のとき、カット率を一時的に高める だが白教のロイド信仰は、今や廃れて久しい カリムの司祭たちは声高に主張する ロイドは傍系にすぎず、主神を僭称したのだと ちなみに無印ではキャラメイク時に「カリムの陰気顔」、3では「カリムの坊主顔」のテンプレートがあり、信仰に篤いが暗さを感じさせる雰囲気がある。カリム人は「クックック…」と独特の笑い方をする。女性のイリーナも例外ではなくイベントの進行によっては彼女のカリム笑いを聞くことができる。ただ、無印の教戒師オズワルドだけは特別すぎる。「ヒャーッハッハ!」の絶叫に皆一度は驚いたことだろう。 聖女レア一行に「注ぎ火」を探す使命を与えたソルロンドは3では名前すら登場しない。最初の火の衰えとともに白教信仰が盛んだった国が衰退したように思われる。カリムもまた白教を信仰する国であるが、同時に女神信仰も行われている。無印でロートレクが女神フィナを、オズワルドが女神ベルカを信仰し、そして3ではイーゴンが女神クァトの使徒モーンを象った鎧を纏った。 フィナは定かではないが、ベルカが非常にすぐれた魔術師だったことや( 過去記事参照 )クァトの伝承から、彼女らは神族以外の実在した人物なのだろう。女神信仰、これがカリムが健在である重要な要素の1つと考えられる。 罪の女神ベルカへの信仰はベ