ダークソウル考察 すごいぞカリム②アイテム編
カリムで作られたアイテムは独特で貴重なものが多く、そしてその種類も豊富である。そしてとくに指輪が多彩であり、また他国よりも相当な技術力があったといえる。アイテムの製作に無印ではカリム伯アルスターなる人物が関わっているようである。例えば3で「哀れな抱かれ騎士の名で知られる」とされるショーテルもその一つである。
無印 ショーテル
大きく湾曲した刃を持つ曲剣
カリム伯アルスターの作の1つであり
使用には高い技量が必要となるが
盾の防御を掻い潜ってダメージを与えられる
ちなみに現実でのショーテルはエチオピアの伝統的な両刃の刀剣で、盾を掻い潜るのは勿論、手首を返さずに斬ることが可能で、引っ掛けたり薙ぎ払えたりでき、熟達の者が使えば騎兵相手にも効果的だったという。
他に無印でカリム伯アルスターの名がテキストにあるアイテムは前の記事で触れた解呪石、そして血咬み、毒咬み、呪い咬みの「咬み指輪」シリーズである。だいたい同じなのでここでは病み村で重宝した毒咬みの指輪のテキストを。
無印 毒咬みの指輪
カリム公アルスターが作らせたと言われる
独特の「咬み指輪」の1つ
その製法にはよからぬ噂もつきまとうが
確かな効果があり
毒咬みの指輪は、装備者の毒耐性を高める
(注:公と伯について。考察好きな皆はすでにお気づきかと思いますが、アルスターは伯だったり公だったり、爵位が変わっています。3では武器に「アルスターの槍」が登場するのですがこのテキストでは「カリム公アルスター」となっています。どっちなんだ!統一してくれ!というのが本音です。しかし欧州では領地によって複数の爵位を持つ場合があったり、最も重要な爵位以外を嫡男以外に分与する場合もあったそうです。ダークソウル世界では(名前)of(国名)と名乗るのでファミリーネームが無く何とも判断がつきませんが、公と伯に分かれているアルスターは本人またはその血族ということで解釈しようと思います)
脱線を元にもどします。ここで大事なのは咬み指輪の製法である。よからぬ噂というのは何なのか。ほかのアイテムのテキストからもう少し肉薄したい。
無印 犠牲の指輪
犠牲の儀式によって作られる
罪の女神ベルカの、神秘の指輪
装備者は死んでもなにも失うことはないが
この指輪は壊れてしまう
カリムのオズワルドが販売するためこれもまたカリムにゆかりのある品。犠牲の指輪を装備している時に死んでもソウルも人間性も失わなず、生身だった場合は外見も亡者にならない。それと引き換えにこの指輪が壊れて「死んでしまう」のである。前回扱った解呪石のテキストももう一度読んでいただきたい。
無印 解呪石
半ば頭骨が溶け込んだ灰色の石
カリム伯アルスターの秘宝の1つ
呪いの蓄積を減らし、呪死状態を解除する
人は呪いに対し無力であり
それを逸らすことしかできない
解呪石もまた、呪いを逸らす先でしかなく
それは人、ないし人だった何かなのだろう
解呪石のテキストの最後の文にあるように、指輪の石は元は人だったものなのだろう。罪の女神ベルカの犠牲の儀式とアルスターの製法が全く同じものかは不明であるが人をもとに作った石である点は同様である。咬み指輪の仕組みもおそらくは解呪石と同じようにダメージを逸らす先のもので、装備者の代わりに指輪(の石になった人)が毒や出血、呪いのダメージの蓄積を引き受けていると考えられる。人間を元に宝石を作ること、これが咬み指輪の「よからぬ噂」の正体であろう。
3の頃はカリムでは聖職者がより権力を拡大しているのか、彼らだけが扱うようになったようである
3 毒咬みの指輪
カリムに伝わる「咬み指輪」のひとつ
毒耐性を高める
柔らかな石に不吉を感じるものか
その製法は禁忌であるという
聖職者だけが、それを弄ぶのだろう
人を元に宝石等を作ることそれ自体は残酷で禁忌にふさわしい事柄である。されども人間を石に、それもバジリスクのように単に石化するのではなく力をもった宝石に変えることを編み出したのはカリムの偉業といえよう。ダークソウルの世界において人間は様々なものに変わる(変えられる)、という真理にカリムはいち早く触れていたのである。
…もう一押ししたいので2の灰の指甲のテキストを。
2 灰の指甲
探索者ロイが身に着けていた指甲
石化耐性を高める
石化はほぼ死と同義であり
その意味ではこれは死を遠ざける
護りであるともいえる
2は「呪い」と「石化」が分かれている。「呪い」は顔のついたツボなどから効果を受けると即座に最大HPが減少する(3にも似たような効果の攻撃があり、イルシールの地下牢の獄吏の視界に入ると同様に最大HPが減るが、視界から離れてしばらく経過すれば最大値そのものは回復する)。
一方「石化」は無印、3と同様に一定ゲージまで効果を受ければ即死、そして通常の死亡時より最大HPの減少が大きい。
オラフィスのストレイドら石化したNPCや敵を懐かしい香木で解除できたように、2の定義では石化は「ほぼ死と同義」であるが完全に死んでいるわけではないらしい。
憶測ではあるがアルスターらカリム人はどうにかして人間の力を保持したままの石を作り出したのだろう。「完全には死んでいない人間の宝石」を。おそるべし技術大国カリム。
闇属性のものが雷に弱いこと、古竜の岩の鱗がグウィンら神族の雷の力によって砕かれたこと、そして人間性が闇であること。人間性と岩の鱗との関連…石の製法からダークソウル世界での人間の持つ不死の力にカリムの人々は気づいたろうか。いや、もし気付いていたとしてもカリムの聖職者らはクァトの鈴が闇に近しいことを秘匿しており、建前であっても白教の国であり続けたであろう。
万が一、人間の本質である闇の力と不死という強さに気づいたものがいたならば、①で述べたように彼らがロンドールの建国に関わったのかもしれない。
真相はどうあれ、誰かを犠牲にしてでも石を作る必要と、なにより需要があったのだ。そしてその門外不出の石の製法はカリムという国が没落せずに存続している力のひとつであったのだろう。
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