ダークソウル解説 女神の騎士、ロートレク
タイトルに解説と書いてしまいましたが、今回は半ば感想文です。NPCロートレクへの個人的な思い入れをたっぷりに語ります。ただ、これを読めば周回プレイをするときにロートレク関連のイベントを面倒くさく思わずに進めようと思ってもらえるかもしれません。
2年ほど前にダークソウル無印をPS3でプレイしてから強烈な印象が残っているキャラクターです。ごく最近、3の「寵愛の指輪」のレプリカが発売されたので語るには良い機会だと思いました。
2年ほど前にダークソウル無印をPS3でプレイしてから強烈な印象が残っているキャラクターです。ごく最近、3の「寵愛の指輪」のレプリカが発売されたので語るには良い機会だと思いました。
じゃん!TORCHTORCHから発売された「寵愛の指輪」です。買っちゃいました。
ダークソウル3に登場したほうのレプリカのため、一度外したら壊れるということはありません。安心ですね。
ロートレクの良さは彼の甲冑、寵愛シリーズのテキストに集約されています。またこの一文は無印のフレーバーテキスト屈指の名文でもあります。
寵愛シリーズ
「彼は孤独の中で女神の寵愛を信じ、そのために全てを捨てた」
はい、破滅的な美しさを感じますね。女神とは人間の聖女ではなく実体すらあるのか怪しい存在。そんな女神フィナの寵愛を受けていると強く思い込むことで、ロートレクは己でありつづけたのです。ダークソウルの世界で亡者にならずに彼が彼として存在できているのは女神の寵愛を信じているからなのです。
ロートレクの甲冑はとてつもなく目立つ
無印のキャラメイクにあるデフォルトの顔「カリムの陰気顔」、カリムの聖職者に多い顔だとされています。これが3では「カリムの坊主顔」となっています。どうやらカリムは白教がさかんな土地だと思われます。ちなみにどちらも暗く険しい顔つきで髪は灰色です。
その国でロートレクは誇り高い騎士であったのでしょう。しかしある時、白教で不浄とされる不死人になってしまった。不死人は忌み嫌われる存在。彼の誇りは傷つき、国を追われ、孤独になり、心は極限まで追い詰められた。そして詳しいことは不明ですが、なにかのきっかけで、偶然壊れていない指輪や甲冑を手に入れただとか宗教的啓示を受けただとか、彼は女神フィナの寵愛を信じ始めたのです。
もっと言うならば、彼の心は一度死に、女神フィナの寵愛を信じることで蘇ったのです。
それからはあの女神の腕が絡みついた金色の鎧を纏い、全身で寵愛を表現しながらロートレクは女神の騎士として生きたのです。大切なのは女神だけであり、ほかの倫理はどうだっていい。だから火防女アナスタシアを用済みだと殺し、自分にとって有用ならアノール・ロンドで仲間を呼びますし、プレイヤーにも他人を殺して人間性を奪うことを唆したりもしたのです。
ロートレクは女神の寵愛を信じることで存在できている。そのことは裏を返せば、その信心が揺らいだときに、少しでも疑念を抱いたときに、全てが崩れ去ってしまうのです。それがアノール・ロンドで我々プレイヤーに侵入されて敗北したあのときです。信心というのは一見強固なようで、とても脆い拠り所なのです。心折れてしまった彼はもう動き出すことはありませんでした。
ダークソウル無印では「寵愛と加護の指輪」という名前で登場するロートレクの指輪ですが、3では「寵愛の指輪」と名を変えて登場します。そのテキストには「女神フィナの寵愛は蝶のように移り気」と付け足されています。…なんと哀れなことか。騎士として一途に信じたものの、フィナのほうは移り気だとは…。
(メタな話になりますが、フロムの社員さん、ロートレクはもう十分傷ついたと思うのでこれ以上辛い文はやめておくれ…)
「哀れだよ、炎に向かう蛾のようだ」とはロートレクの言葉でした。蝶というのはこの蛾に対するモチーフなのでしょう。
我々は皆、暗闇のなかで明かりを求めて炎へと向かい、そして焼け死んでいく蛾のような存在なのかもしれません。このカリムのことわざ(?)は3のカリムのイーゴンも口にするので時代を超えて語り継がれているようです。
ロートレクも結局、この蛾のような哀れな存在だったのでしょう。しかしながら、こうも思います。3で指輪の名前から「加護」という言葉が抜けているのは、それはロートレクが見出した特別なもので、他の指輪には無かったものなのではと。もしもそうだとしたら、彼にとってせめてもの救いであり、慰めになるではありませんか。
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