ブラッドボーン解説その6 メンシス学派

まず断りを入れたいことは、作中メンシス学派についてのテキストは多くなく、彼らが根城にするヤハグルの様子やミコラーシュのセリフ、オブジェクトから推察するしか出来ないことが多々あるということである。メンシス学派には謎が多い。これを念頭においていただきたい。



メンシス学派は医療教会の2つの上位学派の1つである。聖歌隊が聖堂街上層を拠点としていたのに対し、メンシス学派は聖堂街から下へ向った隠し街ヤハグルを根城にしている。この2派は対立しており、互いにスパイや斥候を送り合っている。メンシスの悪夢内にいる学徒の服を来た眼鏡の青年は「聖歌の間者、エドガール」という(海外攻略本情報)。そして上層のボス、エーブリエタースの前では「メンシスのダミアーン」という古狩人が召喚可能である。そして上層の鍵が手に入るのは隠し街ヤハグルの牢に囚われて死んでいる聖歌隊装束を着た死体からである。



もう1つ、2派の対立を思わせる事例に女医ヨセフカの件がある。イベントはあれど、彼女たちに関するテキストがあるわけではないので意外に思われるかもしれない。順を追って解説しよう。

まず彼女「たち」と複数であるのは、女医ヨセフカは偽物に入れ替わってしまうのである。ゲーム冒頭、診療所の奥へ逆戻りしドア越しに話しかけると「ヨセフカの輸血液」がもらえる。しかし聖堂街まで進んでから話しかけると生き残りの民間人に避難場所としてヨセフカの診療所を教えるように言われる。この時点で偽のヨセフカになっているのである。
その後禁域の森から診療所の裏口へ回ると偽ヨセフカと戦闘が起こるのだが(※)、彼女の装束から聖歌隊の者だということがわかる。

そして本物のヨセフカであるが、彼女からもらえる「ヨセフカの輸血液」はメンシスの悪夢内、メルゴーの乳母がいる場所付近にある宝箱に入っている。メタな話をすれば少々強引なアイテムの置き方ではあるが、これは本物のヨセフカとメンシス派になんらかの関係があることの示唆であろう。悪夢の最奥に彼女に由来する血があるとは、本物のヨセフカは一体何者であったのだろうか。


※赤い月後なら偽ヨセフカは上位者の子供を身籠っており戦闘は起こらない。また彼女の元に民間人を誘導しドア越しに話しかけると礼として「感覚麻痺の霧」がもらえる。上位者の子供を身籠れることと、カインハースト由来のアイテムである霧、そして彼女のそばにカインハーストの招待状があることから、どうやら彼女は聖歌隊であると同時にカインハーストの血を引く者のようである。



ミコラーシュの上位者を求める方法は誰よりも大胆で、悪夢の中で直接上位者に呼びかけるものである。その呼びかけの内容は、上位者ゴースに白痴のロマと同様に脳に瞳を授けてくれるよう訴えるものである。白痴のロマの姿は周知の通り、目を沢山持った白い毛のある大きな虫である。たとえどのような姿になろうとも上位者になりたいと望むのが彼らのようである。
しかし、DLCで明らかになったように、ミコラーシュが呼びかけていた上位者ゴースは既に死んでいた。彼の願いはゴースに届いてすらいなかったようである。


教室棟のメモ
ウィレーム先生は正しい。情けない進化は人間の恥だ。


この「情けない進化」とは人間から上位者になる際にロマのように人の姿を留めないことを指すのだろう。しかし人のままでいるということはまた、人を超えられないということでもある。メンシス学派を批判するのと同時に、ウィレームの思想の限界を示す言葉でもある。


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