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ダークソウル考察 「不死教」と教戒師カリムのオズワルド

ダークソウルシリーズ内に登場した宗教といえば白教であるが、言葉のみ1度だけ出てきた不死教というものがある。今回はこの不死教と、3で登場した黒教会について解説していきたい。 命からがら北の不死院から脱出し、祭祀場へ到着。そこで心折れた戦士(通称青ニート)に言われるまま鐘を鳴らすために階段を登ったその場所が「城下不死教区」である。あまりにも序盤の地域なので、初めて訪れたときはその名前に違和感を抱くこともないかもしれない。城下というのは、おそらくセンの古城のふもとに作られた(もしくはアノールロンドであるがどちらかというのはここでは重要ではない)のであろうが、改めて考えていただきたい。どうしてそこは白教区ではなく不死教区という名前なのかと。 まず、白教は王グウィンの叔父であるロイドを主神とする、ダークソウル内での主要な宗教である。アストラやカリムなど、各国で信仰されており、とくにソルロンドは信仰が盛んなようである。グウィンら神族を崇める宗教であり、火の陰りに従って現れた不死人は不浄とされている。 その不浄であるはずの不死の名を冠した不死教とはなにか。ダークソウル無印では直接語られることはないが手がかりはいくつかある。ここではカリムのオズワルドと彼が扱う品物から紐解いていこう。 鐘のガーゴイルを倒した後にひょっこり登場するオズワルドだが、彼が身にまとう装備は 白 教のものではなく黒の聖職衣である。 黒の聖職衣 罪の女神ベルカの教戒師がつける聖職衣 教戒師の衣装は全て黒で統一されており ベルカの神秘の力から あらゆる魔法に耐性があると言われている 彼が信仰する罪の女神ベルカはシリーズを通して謎の存在であるが(3で不死街の洞窟に像があったのみ。長い髪をしている)、オズワルドが販売する魔術「沈黙の禁則」などのテキストからその正体が垣間見れる。 沈黙の禁則 黒髪の魔女ベルカの伝える秘儀 効果範囲内ですべての魔法が使えなくなる 罪の女神ベルカは異端であるが 古今あらゆる秘儀に通じており 神々の中でも強い影響力を持つと言われる このテキストより罪の女神ベルカは白教の信仰対象ではなく異端の神であるとわかる。何より、魔女であるのに女神として崇められている異質な存在である。彼女の異質さを象徴するものにベルカのタリスマンがある。 ベ

イラストまとめ ブラボ漁村の犬アンドモア

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漁村の犬が好きです。なにそれ?とお思いの方もいるかもしれません。漁村の犬とは、ブラッドボーンDLCのマップ「漁村」にだけいる半魚犬です。アートワークスにも載ってないらしく、正式名称もわかりません(古の狂犬だとどこかで見かけましたが不確かです)。獣の咆哮を使ってくる、だけど銃弾一発当たればキュンキュン泣いてのたうちまわるアイツ。実はマップに数匹しかいないレアモブのアイツ。元の飼い主なのか、半魚村民に律儀に付き従っているアイツ。 気がつけばあなたもアイツが気になってしかたなくなっているはずです。ほらね。 ちょっとかわいめのデフォルム 狂気の水玉配色 2018年春頃にはTシャツをつくりました こっちは原宿系のコにおすすめしたいファンタジックな配色 じつはここから購入できます! オーソドックスな水色 ちょっとオシャレな水玉 何枚か自分で買って着ていますが、バカバカしくて頭のネジをゆるめたいときにはもってこいですよ。ただ宅配便がくるとちょっとドキっとするのが難点です。 じつは2017年も漁村の犬Tシャツを作っていました。簡素で低い画力、だけどだからこそじわじわと深い味わいが出てくるデザインを意識しました  狂気の水玉模様も2年連続だったのです ブラッドボーンのモブ敵はどれもこれも凝った形と動きをするので印象が強いです。水色のブヨブヨ頭のアイツ、星界からの使者もかなり好きです。アイツたち元人間の眷属なんですよね。偽物のヨセフカをはじめ、聖歌の研究に使われると…おーこわ  星界からのフラペチーノ…飲むと啓蒙を得られるか体が半透明になりそう Cosmic Fairy☆ あんな姿になったら元の記憶はあるんでしょうか?あったとしても前向きに生きてほしいな。人生を楽しむことを忘れないでほしいな。 ブラッドボーンの落書きは多数あるのですがどれもこれもきちんと描かずに鉛筆でネタを描いただけのものが多くて困ります。これはピョンチャンオリンピックのときに話題になった「モルゲッソヨ像」のパロディのアルデオッソヨ像。股間は輝きのカレルで規制を入れておきました。 メンシスの悪夢にいるカラス犬 さまよう悪夢 お

イラストまとめ ブラッドボーンのネタイラスト

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チラシの裏にササッと描いてパパっとアップした絵をまとめました。全てギャグで本編とはかけ離れていますが笑ってくれれば幸いです。 ヤーナムっ子の定番おやつ、ローゲリウスの車輪グミ。元ネタはHARIBOのシュネッケンというリコリス味の通称タイヤグミ。日本人の口には到底合わないヤツらしい。 縁日やスーパーでたまに見かけるソーセージマルメターノ(うずまきソーセージ)のパロディ。上位者になれるね。 2017年にツイッター上で世界的に有名になったセクシー塩振りおじさんのパロディ。ヤマムラさんのほうがそのままでずっとセクシーだよ////あー好き シモンさんと漁村の犬、そして星界からの使者でフランダースの犬のエンディングパロディ ヒップホップで食っていくことを心に決めたガスコイン ヤマムラさんと連盟のみなさんで、すしざんまいのポーズ 本編がつらければつらいほどネタイラストが輝いてくれる気がします。つらい行程があっての笑いなのです。ほかにもモブ敵(漁村の犬や星界からの使者)イラストがありますが画像だらけになるので別記事にします。

イラストまとめ ダークソウルシリーズ

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iPadとprocreateでデジタルイラストを描き始めたのはごく最近で、それ以前はアナログで作品を描いていました。ちょっとしたものから、がんばったものまで整理してみました。御覧ください。  ヴィルヘルムのヘルム こんなふうにIKEAで買った金の額縁に入れるとちょっと高級ぽくみえます。彼にはこうしてインテリアになってもらっています。 ファーナムの兜。この作品はこのあと色塗りに失敗してこの画像しか現存していません。アナログの辛いところです。 モフモフがマシマシ ゆるファーナム。フォローザの興隆期には彼ら獅子騎士団が群れを成して戦っていたかと思うとドキドキします。Tの字はかわいい。 3の騎士。マシュマロを焼きます。 おなじく3の騎士。サリヴァーンの獣に半ば食われてからでも入れる保険はあるんでしょうか?ところでサリヴァーンの獣の腹は貪食ドラゴンと同じで妄想がはかどりますね。 パロディイラスト、ダークソウル3のイルシールの地下牢にいる獄吏のGOKURIです。エスト味。缶の蓋は獄吏の焼きごてマークです。 最後は拙作ですがわたしの推し騎士、女神の騎士ロートレクです。鎧の正面もインパクト大きいですが、女神の手が絡みついた後ろ姿の腰がとてもセクシーだと思います。彼の人体モデルは体型の設定が普通もしくは細身なので女神の手がよく映えるんです。 ひとまずこれくらいでしょうか。第二弾をお見せできるよう絵に励みたいです。

ブラッドボーン解説その7 メンシス派とオドン

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これまでの解説を読んでくれているという前提で話を進めさせていただく。今回は作中随所に置かれたメモを通して、メンシス派の目的について前回より深く語っていきたい。それはストーリー全体の理解にも繋がるだろう。 ・オドンの地下墓のメモ 「ビルゲンワースの蜘蛛が、あらゆる儀式を隠している 見えぬ我らの主 も。ひどいことだ。頭の震えが止まらない」 このメモを読んだ時点では、とくに初見では何のことかさっぱりわからないだろう。が、おそらくはメンシス派の人間が書いたものである。ビルゲンワースの蜘蛛とは白痴の蜘蛛、ロマのことで、見えぬ我らの主とは上位者のことだろう。この上位者については後ほど詳しく解説する。 ・隠し街ヤハグル(地下牢)のメモ 「狂人ども、やつらの儀式が月を呼び、そしてそれは隠されている 秘匿を破るしかない」 ヤハグルの人さらいに捕まった反メンシス派だったのであろう人間によるメモ。赤い月はロマが隠しているが、メンシスの儀式を止めさせるにはロマの秘匿を破る必要がある。つまりロマを倒して赤い月をあらわにしなければならないのだ。 ・ビルゲンワースのメモ 「赤い月が近づくとき、人の境は曖昧となり 偉大なる上位者が現れる。そして我ら赤子を抱かん」 「あらゆる儀式を蜘蛛が隠す。露にすることなかれ 啓蒙的真実は、誰に理解される必要もないものだ」 メンシスの儀式で赤い月が呼ばれると同時に上位者が現れる(もしかしたら上位者を呼ぶと月が赤くなるのかもしれないが判別はできない)。そしてカインハーストの血を引く女性は上位者との赤子を孕むのである。 ここで再びオドンの地下墓のメモについて考えよう。「見えぬ我らの主」とは何者なのか。ここで思い出してほしいのがカレル文字「姿なきオドン」である。 姿なきオドン 人ならぬ声の表音となるカレル文字の1つ 上位者オドンは、姿なき故に声のみの存在 であり その象徴となる秘文字は、水銀弾の上限を高める 人であるなしに関わらず、滲む血は上質の 触媒 であり、 それこそが、姿なきオドンの本質 である 故にオドンは、その自覚なき信徒は、秘してそれを求めるのだ そう、 見えぬ我らの主とはオドンなのである 。メモがあったのはオドン教会であり、示唆の1つであるのかオドン教会には

ダークソウル解説 女神の騎士、ロートレク

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タイトルに解説と書いてしまいましたが、今回は半ば感想文です。NPCロートレクへの個人的な思い入れをたっぷりに語ります。ただ、これを読めば周回プレイをするときにロートレク関連のイベントを面倒くさく思わずに進めようと思ってもらえるかもしれません。 2年ほど前にダークソウル無印をPS3でプレイしてから強烈な印象が残っているキャラクターです。ごく最近、3の「寵愛の指輪」のレプリカが発売されたので語るには良い機会だと思いました。 じゃん!TORCHTORCHから発売された「寵愛の指輪」です。買っちゃいました。 ダークソウル3に登場したほうのレプリカのため、一度外したら壊れるということはありません。安心ですね。 ロートレクの良さは彼の甲冑、寵愛シリーズのテキストに集約されています。またこの一文は無印のフレーバーテキスト屈指の名文でもあります。 寵愛シリーズ 「彼は孤独の中で女神の寵愛を信じ、そのために全てを捨てた」 はい、破滅的な美しさを感じますね。女神とは人間の聖女ではなく実体すらあるのか怪しい存在。そんな女神フィナの寵愛を受けていると強く思い込むことで、ロートレクは己でありつづけたのです。ダークソウルの世界で亡者にならずに彼が彼として存在できているのは女神の寵愛を信じているからなのです。 ロートレクの甲冑はとてつもなく目立つ 無印のキャラメイクにあるデフォルトの顔「カリムの陰気顔」、カリムの聖職者に多い顔だとされています。これが3では「カリムの坊主顔」となっています。どうやらカリムは白教がさかんな土地だと思われます。ちなみにどちらも暗く険しい顔つきで髪は灰色です。 その国でロートレクは誇り高い騎士であったのでしょう。しかしある時、白教で不浄とされる不死人になってしまった。不死人は忌み嫌われる存在。彼の誇りは傷つき、国を追われ、孤独になり、心は極限まで追い詰められた。そして詳しいことは不明ですが、なにかのきっかけで、偶然壊れていない指輪や甲冑を手に入れただとか宗教的啓示を受けただとか、彼は女神フィナの寵愛を信じ始めたのです。 もっと言うならば、彼の心は一度死に、女神フィナの寵愛を信じることで蘇ったのです。 それからはあの女神の腕が絡みついた金色の鎧を纏い、全身で寵愛を表現

ブラッドボーン解説その6 メンシス学派

まず断りを入れたいことは、作中メンシス学派についてのテキストは多くなく、彼らが根城にするヤハグルの様子やミコラーシュのセリフ、オブジェクトから推察するしか出来ないことが多々あるということである。メンシス学派には謎が多い。これを念頭においていただきたい。 メンシス学派は医療教会の2つの上位学派の1つである。聖歌隊が聖堂街上層を拠点としていたのに対し、メンシス学派は聖堂街から下へ向った隠し街ヤハグルを根城にしている。この2派は対立しており、互いにスパイや斥候を送り合っている。メンシスの悪夢内にいる学徒の服を来た眼鏡の青年は「聖歌の間者、エドガール」という(海外攻略本情報)。そして上層のボス、エーブリエタースの前では「メンシスのダミアーン」という古狩人が召喚可能である。そして上層の鍵が手に入るのは隠し街ヤハグルの牢に囚われて死んでいる聖歌隊装束を着た死体からである。 もう1つ、2派の対立を思わせる事例に女医ヨセフカの件がある。イベントはあれど、彼女たちに関するテキストがあるわけではないので意外に思われるかもしれない。順を追って解説しよう。 まず彼女「たち」と複数であるのは、女医ヨセフカは偽物に入れ替わってしまうのである。ゲーム冒頭、診療所の奥へ逆戻りしドア越しに話しかけると「ヨセフカの輸血液」がもらえる。しかし聖堂街まで進んでから話しかけると生き残りの民間人に避難場所としてヨセフカの診療所を教えるように言われる。この時点で偽のヨセフカになっているのである。 その後禁域の森から診療所の裏口へ回ると偽ヨセフカと戦闘が起こるのだが(※)、彼女の装束から聖歌隊の者だということがわかる。 そして本物のヨセフカであるが、彼女からもらえる「ヨセフカの輸血液」はメンシスの悪夢内、メルゴーの乳母がいる場所付近にある宝箱に入っている。メタな話をすれば少々強引なアイテムの置き方ではあるが、これは本物のヨセフカとメンシス派になんらかの関係があることの示唆であろう。悪夢の最奥に彼女に由来する血があるとは、本物のヨセフカは一体何者であったのだろうか。 ※赤い月後なら偽ヨセフカは上位者の子供を身籠っており戦闘は起こらない。また彼女の元に民間人を誘導しドア越しに話しかけると礼として「感覚麻痺の霧」がもらえる。上位者の子供を身籠れることと、カインハースト由来のアイテムである

ブラッドボーン解説その5 聖歌隊

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聖歌隊は医療教会が創設されてからしばらく後にできた組織である。メンシス学派とともに医療教会の上位会派である。 孤児院の鍵のテキスト 「聖歌隊」の生所、孤児院の扉の鍵 大聖堂の膝下にあった孤児院は、かつて学習と実験の舞台となり 幼い孤児たちは、やがて医療教会の密かな頭脳となった 教会を二分する上位会派、「聖歌隊」の誕生である 医療教会は獣の病に絡んで親を亡くした子供たちを教育し、また実験の材料とした。出来の良かった子供たちはやがて聖歌隊を組織し教会の頭脳となったのであろう。実験の対象となった子供たちの成れの果ては、おそらくボス敵として登場する星界からの使者である。根拠は2つある。1つは偽のヨセフカの元にNPCを避難させると彼女の実験によって使者の姿にされること(つまりあの青いブヨブヨの宇宙人のような者は元人間である)。もう1つはボス星界からの使者を倒すとカレル文字「拝領」をドロップする。それは医療教会を象徴するカレル文字で、彼らが教会に関係した人間であった証拠である。 ブラッドボーンの背景を製作者の意図にしたがって理解するにあたり、聖歌隊にまつわるアイテムのテキストは読解に注意を必要とする。エーブリエタースを撃破した時に入手できるイズの大聖杯のテキストをよく読んでいただきたい。『「聖歌隊」によれが、イズの地は宇宙に触れている』とある。なぜか聖歌隊からの伝聞調なのである。おかしいとは思わないだろうか?例えばローランの地が獣の病に沈んだことなど、どんなに過去のことであろうと他のテキストは客観的事実が述べられているのである。しかしイズの大聖杯のテキストではなぜか聖歌隊の目線での出来事しか述べられていない。本当に彼の地が宇宙に触れていたかどうかは述べられていないのである。 イズの大聖杯、汎聖杯のテキスト 地下遺跡の封印を解く、汎聖杯の1つ 特に大聖杯は、遺跡の秘部に通じるものだ 医療教会の上位会派「聖歌隊」の礎となった、イズの大聖杯は ビルゲンワース以来、はじめて地上に持ち出された大聖杯であり 遂には彼らを、エーブリエタースに見えさせたのだ (汎聖杯) 「聖歌隊」によれば、イズの地は宇宙に触れている 故に上位者たちは、かつて超越的思索を得たのだと

ブラッドボーン解説その4 処刑隊

装束の聖布の説明から察するに、処刑隊が活躍したのは、まだ教会の白装束や黒装束ができていない医療教会創設に近い頃かと考えられる。 処刑隊の装束のテキスト かつて殉教者ローゲリウスが率いた処刑隊の装束。 後の教会装束の基礎であり、聖布も厚く垂らされている。 殉教者ローゲリウスは言った 「善悪と賢愚は、何の関係もありません  だから我々だけは、ただ善くあるべきなのです」 ローゲリウスの言葉、善悪と賢愚とは。ここで言う「賢さ」というのは上位者へ近づくための知識のことであろう。啓蒙の高さと言い換えていいかもしれない。それと倫理的、道徳的観念である善悪は関係ないとローゲリウスは語る。つまり、上位者に至る知識をより身に付けたからといってそれは必ずしも善い行いとは限らないのである。啓蒙が高いものの徳が高いわけではないのだ。 ではいったいなにが善いことなのか。「穢れた血族」を、悪を処刑することが善い行いなのである。 時は少し遡りビルゲンワース。研究者の一人が裏切り、血を古くからの貴族であるカインハーストの元に持ち出したという。元々血を嗜む文化のあった貴族たちの間でその血は広まり、こうして穢れた血族が生まれたのだという。 彼らを処刑することが善なる行いであり、正しいのである。ローゲリウスの言葉は拝領の探求、上位者へ至る道に疲れた人々に響いたのであろう。しかしその信仰は上位者の知識に触れて狂うのとはまた違った狂気であった。 車輪の狩人証のテキスト 殉教者ローゲリウスが率いた処刑隊 その専用工房が発行した証 車輪は正しい運命である それは狂的な信仰と神秘主義に彩られた秘密の場であり 処刑隊の正義を支える力となった ここで少し考えてほしい。ビルゲンワースから盗まれた血から穢れた血族が生まれたとあるが、カインハーストには既に血を嗜む文化があったという。そして前の記事で述べたとおり、カインハーストの女王アンナリーゼは女王ヤーナムのように赤子を得ようとしている。 誓約アイテム血の穢れテキストより抜粋 女王アンナリーゼは捧げられた「穢れ」を啜るだろう 血族の悲願、血の赤子をその手に抱くために 思うに、カインハーストの貴族たちは地下遺跡の人々を祖先に持っていたのではないだろうか。だとすれば血が持ち帰られたところで、先祖の血が末裔に

ブラッドボーン解説その3 女王ヤーナム

前回の解説の補足的にはなるが、医療協会の発足のきっかけとなった聖体について解説していく。この聖体とは女王ヤーナムである。白痴の蜘蛛ロマ撃破後に姿を現した、白いドレスを纏い腹から血を流した異様な女性。謎多き彼女について語ろう。 街と地下遺跡の女王の名前が同じなのは偶然ではない。彼女を連れてきて聖体として崇めたところから医療教会がはじまり、その名にあやかって街の名前として付けたのだと考えるのがごく自然ではないだろうか。 彼女がトゥメル=イルから連れてこられた経緯は作中で語られておらず不明である。しかしメンシスの悪夢にてメルゴーの乳母前で祈るようなポーズをし、そして腹には大きな傷から出たような血痕と包帯が巻かれてあり、乳母を撃破したのちに一礼して消えることから、彼女は上位者メルゴーの母親ではないかと推測される。 聖杯ダンジョンは儀式で現れる現実とは違う特殊な時空間だと仮定すると(この作品の悪夢と呼ばれるものは特殊な時空間を持つ場所のことである)、固定聖杯ダンジョンのトゥメル=イルの最奥で待ち構えている女王ヤーナムとの戦いは過去の似たような出来事の繰り返しなのかもしれない。 その時の彼女の姿は包帯など巻いておらず腹が臨月の状態のように膨らんでいる。その中身は…上位者メルゴーだったのではないだろうか。 女王ヤーナムは聖体として遺跡から攫われ、孕んでいた上位者の赤子を腹をさばかれ奪われたのである。その赤子はビルゲンワースで上位者になるための実験材料とされたのであろう※。そして自身は医療協会の“聖体”として利用されたのである。なんと虐げられた存在であろうか。彼女がロマ撃破後に主人公の前に姿を表したのは、教会への復讐、あるいは子供を取り返すための駒として見定めたからではないだろうか。 ※ビルゲンワースにある「3本の三本目」などのメモはこのとき得た知見を書き付けたものではないだろうか。また、各三本目のへその緒のテキストの「実際にそれが何をもたらすものか、皆忘れてしまった」というのはそのへその緒の調査からかなりの時間経過があることを示している。それはこの一連の医療教会設立前後のことだとすれば合点がいく。 補足 女王ヤーナムは上位者の赤子を身籠ったことで自身も上位者になっていたのであろう※。死してなお悪夢(メンシスの悪夢や、ロマのいる現実とは違う

ブラッドボーン解説その2 医療教会

前回は全ての組織の祖であるビルゲンワースを読み解いた。今回はそこからローレンスたちが派生させた医療教会を解説していく。(考察というよりはテキストに沿っての解説のほうが適切な表現だと考えたのでタイトルを変更しておく。) 前回のビルゲンワースで触れたように、ローレンス率いる医療教会は地下遺跡から持ち出した(それは簒奪に他ならないが)古代人の死体(彼らは"聖体"と呼ぶ)の血そのものの力を使って上位者になろうとした。大聖堂の頭蓋骨を調べた際のムービーにてローレンスがウィレームから言われる警句「かねて血を恐れたまえよ」の通り、血には恐るべき力が秘められているのである。 アルフレートのセリフ 「血の救い、その源となる聖体は、大聖堂に祀られていると聞いています」 「かつてビルゲンワースに学んだ何名かが、その墓地からある聖体を持ち帰り、そして医療教会と血の救いが生まれたのです」 "ある聖体"を手に入れたことをきっかけにローレンスたちは医療教会を発足させた。そして当時のヤーナム中に蔓延していた灰血病(作中では詳細は不明)の治療として人々に聖血を施したのである。白い丸薬の原料のひとつが これだけだと尊い慈善のように聞こえるが、 医療教会の真の目的は"血を用いて上位者に至ること" である。人々への治療はあくまで手段にすぎないのである。彼らは灰血病の治療を隠れ蓑に大規模な人体実験を行ったのだ。その結果、ヤーナム中に獣の病が広がる下地を作ってしまったのである。 教会の白装束テキストより抜粋 彼らにとって医療とは、治療の業ではなく、探求の手段なのだ 病に触れることでしか聞けない知見があるものだ ところで血の救いの源とされた“ある聖体”であるが、これは女王ヤーナムで間違いないだろう。意外に思う人もいるだろうか。しかし固定聖杯ダンジョンを最後まで攻略した同志であれば納得してくれるはずだろう。根拠が存外に長くなってしまったので次回に解説する。

ブラッドボーン解説 その1 ビルゲンワース

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2018年5月のプレイステーションプラスで本編フリープレイとなったフロムソフトウェアの名作クトゥルフアクションRPGブラッドボーン。「青ざめた血を求めよ」という自筆の走り書きだけを頼りに古都ヤーナムに蔓延る獣と怪異を狩るのがあらましです。 わたしは1年前の2017年にハマってしまったのでこの新規プレイヤーが溢れかえるお祭り騒ぎに乗りそびれた感がありました。少しだけ新米狩人より先輩でしたので、一度プレイしただけでは理解しきれないブラボ世界の考察をしておりました。作中に登場する派閥ごとに解説したテキストが思いのほかバズったので、もう少しだけ丁寧にやろうと思います。 ブラッドボーンはクトゥルフ神話が話のモチーフになっており、個々のテキストも非常に独特な言い回しが続きます。しかしそのテキストを丁寧に読み解けば世界の全容とは行かなくとも、事のあらすじと翻弄される人々のすがたが浮かび上がってきます。わたしはクトゥルフへの造詣が浅いので元ネタには弱いです。したがって作中テキストからわかることだけを解説します。 準備中の新タイトル「隻狼」のインタビューで文章のクセをご自身で認める宮崎氏。その劇がかった独特の言い回しはブラッドボーン、ソウルシリーズでプレイヤーの世界観構築に関与する重大な要素である。 ビルゲンワース 各派閥の元となった、ウィレーム学長が首魁の学問研究機関。「脳に瞳※を得る」ことで上位者と同じ思考の次元に至ろうと試みた。地下遺跡より古代人の死体を持ち帰り、彼らが得ていた神秘の力とそれを与えた上位者の研究をしていた。袂をわかつこととなるローレンスたちのように血そのものを使用して上位者になるのではなく、あくまで学問の立場をとって上位者の力を得ようとした。カレル文字はその代表である。 実際にプレイしてストーリーを進めれば、また作中のテーブルに置かれたメモからもわかることであるが、血そのものの力の利用(血を体内に入れる、輸血すること)は獣然り、眷属然り、やがて人間を別の生き物にしてしまうのである。 ウィレーム学長の方法は人間として、人間の姿を保ったままで上位者を目指す方法として、正しかったのだろう。しかしそれでは人間を超えたものである「上位者」にはなれないのである。あるものたちは上位者になりたい、人間の力を超えたいと願っ

こじか、あらためてブログをはじめる

はじめまして、もしくはツイッターでおなじみのみなさん改めましてこんにちは。絵を描いたりゲームのつぶやきをしています「こじか手工業」です。 このおばさんはなぜ一人なのに事業所めいた名前で活動しているのか、疑問に思われたことはありませんか?ツイッターのメカの絵描きさんに◯◯重工業や〇〇工業(インダストリー)と名乗る方たちがいて、彼らにあこがれてのことです。当初アナログの作画環境しかなかった私は問屋制家内工業をイメージして手工業と名乗ることにしました。 そもそもなぜツイッターをはじめたのか。時は遡ること5年前、一世風靡したガンダムゲーム「機動戦士ガンダムバトルオペレーション」の影響でモビルスーツのマンガを書き始めブログをはじめました。情報発信のため、あわよくば読者を増やそうという目論見でツイッターをはじめました。結果、ツイッターがメインになってしまい失敗。本末転倒となりました。(まだ消していないのでご興味のある方は こちら からどうぞ) もちろん楽しみに読んでくれる人もいましたが、影響をうけたゲームが対人戦の基本無料ゲームということもあり更新のスピードについていけなくなってしまいました。ツイッターで宣伝してもわざわざブログまで来てくれる人もすくなく、マンガのネタを絞り出す苦労が増えていきやりがいを感じなくなって敢え無く更新停止となったわけです。 おもしろい、ゆるいMSたちが癒しになると言ってくれた方々のことは忘れませんにし、いまでも心の支えではあります。いい思い出です。 そしてわたしのお気に入りであるMSのジム・ナイトシーカーⅡがゲームファンから「夜鹿」という通称で呼ばれていたことから「こじか」と名乗り始めました。名前に歴史あり。モビルスーツの四コマを書いていた頃はよちよちとしか歩けなかった子供はいま、幼稚園の年長となり走り回っています。早いものです。 心機一転はじめたこのブログでは、ゲームプレイ記や濃いめのレビュー、考察、そのほかにゲームに関係なくわたしの食べたものや買ったものなど紹介しよう!と思ったものをドンドン紹介していきたいです。もちろん、ちょっとした絵もアップしたいなと思っていますよ。雑誌のちょっとしたコラムくらいには楽しいものにしたいです。いままでもこれからも、よろしくおねがいします。