ダークソウル考察「涙」その4

回を重ねる度、ブログというものは長文に適さないのだとつくづく痛感しております。「涙」についてはこれが最後であると誓います。


イーゴンが導かれた絶望の運命は前回、前々回と解説したが、今回は使徒モーンの方に注目したい。彼が伝えたためか奇跡「治癒の祈り」は「治癒の涙」に、「惜別」は「惜別の涙」と名を変えている。


「治癒の涙」

カリム大司教の使徒
モーンが伝えた奇跡

周囲も含め、出血、毒、冷気の状態異常を治癒する

モーンは女神クァトの従者として知られ
これは彼女を巡る死の物語であるという


「惜別の涙」

(前半同)

HPがゼロになった時、一度だけ踏みとどまる

それは、死にゆく者の今わの際に
別れの時間を与えるための奇跡である
涙は死者のために、それ以上に生者のために


「赤い涙石の指輪」(抜粋)

それは女神クァトの、悼みの涙(青石は哀れみの涙)であるという
そして涙とは、死の側でこそ美しいものだ


ここからは憶測を出ない想像である。クァトが涙の神なのは赤衣のユルヴァが病み村で魔術「治癒」をふるったように人々の救済のため「治癒の祈り」を捧げていたのではないだろうか。
常に死者のや病人のそばで涙を流し続け、やがてその哀しみに耐えきれなくなったためか。あるいはイリーナのように闇を恐れる弱い聖女だったため火防女になれなかったためか。クァトの鈴の効果から推測するなら、死の哀しみが無くなるならばいっそ人が不死であればと白教の教義から外れたことを望んだためか。
理由は定かでないが従者であるモーンに苦痛と苦悩からの解放、イリーナがイーゴンに約束させたのと同じく、自身の介錯を頼んだのではないだろうか。
そしてモーンはその願いを引き受けたのだろう。moan、「呻き」とは、苦しみから出る低い唸り声のことである。付き従った聖女を自らの手で殺すことになるのが絶望的な運命で無ければ何であろう。

そしてもしクァトが最期に「惜別の涙」を流したなら、残される彼に何を伝えたのだろうか。もしかしたらそれはモーンの指輪のテキストのようなことだったろうか。


「モーンの指輪」(一部抜粋)

モーンとは、女神クァトの従者であり
後に大司教の使徒になったという
全ての弱き者を慰める力として


大司教に涙の奇跡を伝えたのがモーンであることや、のちに大司教の使徒となったことから、モーンが1人残されたのは確かである。クァトを巡る死の物語は、彼女の死で幕を閉じた。そして彼女は神格化され、彼女の鈴が闇の奇跡と相性が良いという事実は、大司教によって秘匿され、闇に葬られたのである…。

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